これまでweb制作だけじゃなくて、むしろEC(e-コマース=ネットショップ)に関わることが多かったです。
なんやかんやで結構色々なことを経験してきたのでECについてまとめてみようと思います。
結構な長編になるかもです。
目次
ECとは
ECとはE-コマースの略で、つまりはネットショップの事になります。
ECサイトの更新業務だけではなく、実際に通販業務の担当としてECサイトの運営にも携わってきました。
世の中的にもう色んなジャンルの色んな会社が出店しきった感はありますが、まだまだこれから出店したいと考えている個人や企業もいると思うのでなにか参考になればなと思います。
とにかく出店すれば売れるというものではないが、商圏が広がるのは確実です。
街に実店舗を構えても、ほとんどその界隈の人しか来客することはありませんが、ネット販売は全国のユーザーが顧客になりえるのが強みです。
出店方法と特徴
ネットショップをオープンする場合、大きく分けてモール型とショッピングカート型の2つの出店方法があります。
モール型
モール型は各社が提供するプラットフォームに使用量などを支払って店を出す仕組みです。
楽天市場
楽天市場は 今では日本のネットショッピングの代名詞みたいなもんですよね。その有名さゆえに集客力が強いです。
いろんな条件さえ整えば、成功する可能性も高いです。
しかしデメリットとしてとにかく費用がかさみます。楽天税といわれる様々なコストがかかるめ、利益率が低くなることです。
楽天に出店するコストは月額利用料だけではありません。ちなみに月額利用料は確か半年分一括払いを強いられます。
出店料以外に、売れたらマージンを売価の数%を取られます。
それぐらいはどこのモールでもあるんですが、他にもとにかくお金を取ります。
- CSV機能を使ったら月10,000円(税別)
- メルマガを週2回以上配信すると10,000円
- メルマガを配信したら1通ごとに1円
- SNS絡めたら3,000円
- 楽天市場内の広告
- あとポイント関連でも費用がかかります
それに加え、2020年には3,980円以上は全て強制的に送料無料になります。実際は送料のコストになるはずもなく、店側が負担しないといけないということです。
こういう店側に負担をかける施策を平気でガンガンやります。
楽天スーパーセールも、楽天側は売れれば売れるほど販売手数料が入るから儲かるけど、店舗側は粗利率が50%以下の商品だったら当然半額セールなど出来ません。
そうでなくてもかなり薄利になります。
それでも儲かる算段があるなら、集客に関しては良いと思うので出店を考えると良いと思います。
システム的なところでいうと出来ることは多いと思います。受注処理も割とわかりやすい作りです。
売れやすいけど利益率が下がりやすいというのが特徴です。
色々気になるところはありますが、利益が出せる算段があれば出店を考えても良いと思います。

Yahooショッピング
月額費用がかかりませんので、個人事業や小規模の会社でもスタートさせやすく、モールなので集客も多少はあると思います。ただし、楽天ほどの集客力はありません。
ストアクリエイターproというシステムを使うのですが、事あるごとに反映処理をしないと反映されないのが面倒です。
画像が何故か自動的に圧縮されるため、どの店も画像が荒い事が多いです。
あまりはっきりとは覚えていないのですが、受注処理が分かりづらかったように思います。
Amazon
商品単位の出品なので、店舗の構築が不要です。
1つの商品ページに対して複数の出品者が販売者として掲載されることになります。
最も価格が安い店舗がカートを取得することができますので、価格競争が起きやすいです。
月額が大口出品で4900円+販売手数料で、小口出品は注文1点ごとに100円+販売手数料です。
大口だと新しく商品を登録したり、レポート系のツールやCSVが使用できます。
取り扱う物がユーザーのニーズに合えばAmazonは売れると思います。
個人的な贔屓目なしで。
au Wowma!
「ビッダーズ」→「DeNAショッピング」→「au Wowma!」と名前が変わっています。元々ビッダーズはガラケー全盛期にモバゲーと双璧をなすような感じのサービスだったっぽいです。
auかんたん決済との親和性が高いです。
Wowma!になってからは触ったことありませんが、元々携帯向けのサービスだったという歴史の流れから、メインはスマホユーザーになります。
ポンパレモール
リクルート社のモール。触ったことありません。
なんとなーくな個人的感想で一切根拠はないので信用しないで聞いてほしいのですが、あまり将来的に続かないんじゃないかと思ってます。
ショッピングカート型
ショッピングカートシステムを利用してサイトを構築するタイプです。
カラーミーショッププロ
カラーミーショッププロは価格と機能のバランスがよく、固定費を抑えつつそれなりに本格的なショップを作る事ができます。
独自タグなどが少し複雑ですが、やろうと思えばかなりカスタマイズ出来ます。
個人的にショッピングカートでは一番おすすめかなと思います。
もちろん事業規模によっては機能が足りなかったりするかもしれません。

Makeshop
Makeshopは機能が充実していて、管理画面も割と見やすく作るだけなら簡単にできるかもしれません。ただしクセが強いのでカスタムがしづらかった記憶があります。
デザインを変更するためにテンプレートのCSSを編集しようとすると、一旦打ち消ししてからスタイルの指定をしなければいけなかったかと思います。
もとからある機能やデザインをそのまま使うならかなり簡単に構築出来ると思います。

ショップサーブ
機能は充実しているのですが、如何せん管理画面が分かりづらいです。慣れだとは思うのですが個人的にはどうも合わないです。
更新するたびに反映処理しないといけなかったり、プレビュー画面でIDとPASSを2回入力したりと仕様がよくわからないです。
Futureshop2
高機能で管理画面も割とわかりやすいのでショッピングカート系では一番良いと思いますが、その分固定費がかかります。
追加オプションでレコメンドや画像の表示数を増やしたりも出来ます。
ある程度の事業規模があればFutureshop2を選択するのが良いと思います。
粗利率にもよりますが百万以上の売上を作れるなら問題ないと思います
BASE
無料でECサイトが簡単に作成できます。
管理画面も簡単でわかりやすいので初心者でも簡単に構築できます。
店舗URLがBASEのサブドメインになるからSEO面が厳しい(=サーチエンジンからの流入が少ない)と思いますが、SNSからの流入を考えてやっていければ良いのかなと思います。

おちゃのこネット
使ったこと無いからわかりません
welcart
wordpressのプラグインです。
無料の割に普通に使えますが、そもそもある程度のwordpressの理解があるうえで使わないと訳がわからんと思います。カート周りのCSSをいじる時もwordpressの事を理解しておいたほうが良いと思います。
ECサイトと言うより、通常のサイトにカート機能を組み込みたいという場合などで使うと良いと思います。
EC-CUBE
オープンソースなのでレンタルサーバーがあれば導入できます。
wordpressを自分で導入できるくらいの知識があればインストールはできます。カスタマイズ性は高いと思いますが、技術的な敷居はかなり高いと思います。
システムをバージョンアップする時にはデータベースを触ったりしますし、phpフレームワークの知識も必要です。
なので大抵外注になると思うのでその場合は結局費用がかさみます。
デザイン含めて外注できるならありな選択肢かもしれません。
どれで出店するのが良いのか
- どういう機能が必要なのか
- どうやって集客するのか
- どれぐらいの売上が見込めるのか
- 固定費はどれぐらいまで払えるのか
これらを加味して決めましょう。
一度構築したら簡単に他の店に移転するというのは難しいので、十分考えてから決めてください。
ショッピングカートは一定期間無料で試せたりするので、一度試しに触ってやりたいことを実現できそうか、とか注文処理のテストをして実際に業務フローを固める事ができるか確認しましょう。
あと重要なのは構築や更新は外注するのか内製で賄えるのかをしっかり考えましょう。
急に注文が増えた時、受注対応に追われて更新が一切出来ないみたいなことになる前に、対策は練っておくべきです。
出店してからがスタート
当たり前なんですけど、結構店舗構築だけでかなりの労力がかかりますからね。
通販系の業務の流れとしては以下のようになります。
- 仕入れ
- 入庫
- 撮影・ 計測
- ライティング
- 商品登録
- 集客
- 販売
- 受注対応
- 梱包・発送
- サポート
やること、考えることは山程あります。
仕入れ
何をどこからどれくらいの量でいつどうやっていくらで仕入れるのかを考えなくてはいけません。
原価が低ければ低いほど利益が上がりやすいので、コストを抑える方法を考えましょう。
多めのロットで単価を下げるとか、飛行機・船・陸路どれを使うかで仕入れ単価が変わります。
入庫
商品を仕入れても置き場所が必要になります。AmazonだとFBAとかもあるのですが、基本的には自社の倉庫とかですかね。
倉庫と出荷作業を外注することも出来ます。
昔いた会社ではヤマトロジスティクスを使ったことがあります。が、在庫が多すぎて固定費が高かったことと売上が落ちたということで最終的に引き上げました。
適正な在庫だったらまだ良かったんだと思うんですけど、1商品に対するSKU(色違いとかサイズ違いとかのバリエーション)が多くて、とにかく倉庫を圧迫したため固定費が高かったです。
撮影・ 計測
商品の撮影、スペックの計測を行います。
商品の写真は当然キレイな方が売れやすいので、できるだけプロに依頼したほうが良いと思います。自社で出来なくもないけどやっぱり光の当て方とかが全然ちがうので、クオリティが大きく異なります。
スペックの計測は単に寸法とか重さとかを調べるだけです。めんどくさいけど。
ライティング
商品の説明文のライティングです。
商品自体の説明はもちろんなのですが、いちばん大事なのはその商品を使うことでどうなるのかをイメージさせることです。ユーザーは物が欲しいのではなく、体験が欲しいのです。
商品登録
商品のデータを登録します。
かなりめんどいですけど、とにかくCSVデータを使いこなして作業効率を上げる事が一番です。
集客
どんなにいい商品でどんなに良いサイトで受注スタッフの意識が高くても、ユーザーが来ないと注文は入りません。
SEOで自然なサイト流入を増やすのが一番だとは思いますが、なかなか狙って出来ることではないし、知名度が低いのであれば、ある程度の広告を出すことは必要です。予算と相談して行ってください。
販売
ときには割引やポイントなどのイベントもやらないといけなかったりしますが、やりすぎは買い控えとか起こるので注意しましょう。
受注対応
受注処理は一番気をつけないとダイレクトにクレームに繋がります。
十分すぎるくらいテスト注文などでしっかり対応出来るようにしておきましょう。
特に決済方法が色々ある場合はケースバイケースな対応が必要になってきますので、しっかり業務フローを固めてマニュアル化しておきましょう。
梱包・発送
商品を梱包して出荷します。ただそれだけなのですが、雑にやるとクレームのもとです。
またどこの運送会社を使うのかはサイズと送料などの比較で検討しておきましょう。
サポート
出荷してそれで終わりではないですね。何か配送トラブルなどあったら対応しなくてはいけませんし、時には返品対応も必要になります。
または次の購買に繋がるよう、既存ユーザーへの優待イベントなどによるアプローチも必要です。
と、簡単に挙げただけでこれだけの事をこなさなくてはいけないのが通販業務です。
EC事業の落とし穴
とにかく出店店舗を増やす
これほんとやばいです。
実務をよく分かってない経営者とか管理職が考えなしに言い出すパターンです。
別の店舗から別の店舗へ、簡単にコピペで移せると思ってるような リテラシーの低い人が言い出しますが、実際は仕様が全然違うから同じようなレイアウトにしようと思ってもなかなか出来ないこともあります。
レイアウトの寸法が異なればバナーや商品画像作るのも、異なるサイズでそれぞれの店舗用に作らないといけなくなります。
そうなるとそれだけ労力がかかる=リソースを使うということになります。
単純に考えれば出店店舗を増やせばそれだけ販売機会が生まれるから売上は上がりやすいんですけど、更新や受注処理が追いつかなくなる可能性が高まります。そうなるとクレームが多くなって店の評判が落ちていく事が考えられます。
最悪、カスタマーのスタッフがストレスで辞めて、注文が入っても回らなくなるとかいうケースもありそうです。
ちゃんとリソース管理した上で出店を増やす分には問題ないですが、考えなしにガンガン店舗を増やす愚だけは犯さないようにしてください。
複数店舗を運営する場合はネクストエンジンなどの在庫連携システムの使用をおすすめします。各店舗の在庫調整を自動でできるだけでなく、店舗をまたいで決済方法毎で注文処理が出来るのでかなりスピーディーに受注処理が出来ます。
実際いくつか在庫連携システムがある中でネクストエンジンを使いましたが、導入後は各店舗の在庫数の調整と受注処理がスムーズになりました。
ただ、導入にあたっては金銭的なコストだけでなく、導入のための労力や学習コスト(時間)が必要になりますので、土壇場で急に導入は混乱を招きます。
あとは商品コードを各店舗で統一しておかなければいけなかったり(まあ当たり前にやってることだと思いますが様々な事情で異なるコードを使っている場合があるので)します。
店舗を増やす場合は1店舗ずつ、導入して運営状況を見ながらリソース管理しつつやらないと確実に痛い目を見ます。
制作を内製でやろうとする
目先のコストを抑えるために、 大したスキルも無い人が無理に制作まで自分でやろうとしても微妙なデザインになるだけです。せっかくユーザーが来てもファン化しにくいと思います。
餅は餅屋的にちゃんとプロに仕事を依頼しましょう。
スキルとリソースがあるならやってもいいと思います。
仕入れすぎる
大量に仕入れて1個辺りの原価を落とすのは良いやり方の1つだと思いますが、仕入れ過ぎて倉庫を圧迫すると置き場所がなくなって次の仕入れができません。
売れ行きなどを見つつ適正な仕入れ計画を立てましょう。
売れない商品をたくさん仕入れてもゴミと変わりません。
結局どうしたら良いのか
そもそもネットショップはあくまで店舗をネット上に作るものであって、売上が勝手に上がる魔法ではありません。
成功させるためにはネットショップであろうが実店舗であろうが本質は変わりません。
様々な条件をクリアしていくことが成功への道だと思います。
立地
リアル店舗だと人通りの多いターミナル駅周辺とかだと思いますが、ネットショップだとビッグキーワードで上位に出てくる店とかが当てはまります。
どんなにいい店でも誰も来なければ始まりません。まずは人を呼び込む努力が必要です。
SNSなども活用して商品や店の知名度を上げてアクセス数を伸ばす事を第一に考えましょう。
広告も予算に応じてうまく使えればなお良いです。。
店
できるだけ時代に合った、見やすくてキレイなデザインを目指しましょう。
もし実店舗だったとして汚い店とか見た目がダサい店だったらあんまり行きたくないですよね。
それに相当するのがサイトのデザインです。
きれいなだけじゃなくて、何より回遊性などを考えユーザーが利用することを考えた作りにしましょう。
一見オシャレなんだけど奇をてらいすぎてわけのわからないデザインていうのもダメです。離脱に繋がりやすいです。
店の運営に行き詰まってとにかく各部のデザインを変えたがる人いますけど、実店舗だったとしたら内装ばっかり変えまくってもあまり意味ないですよね。
デザインだけに答えを求めるのは辞めたほうが良いです。
商品
商品に魅力がなければ当然なかなか買ってもらえません。
品質や価格など商品の強みを理解し、しっかりありのままに伝えることです。
ユーザーは商品に関して素人なので、プロである店側が丁寧にわかりやすい文章で、初見の人でも商品のことがよくわかるようにすることを考えて商品をアピールしましょう。
カスタマーサポート
受注対応するスタッフは実店舗の店員と同じです。
接客業にかなり近いのでホスピタリティもいりますし、誠実で的確な対応が求められます。
そのためにはケースバイケースで対応できるようマニュアルをしっかり固めておくことです。
他にはできるだけ多くの決済方法に対応するとか、購入後のアフターサービスとかも必要ですね。
最後に
ネットショップと言っても様々なジャンルがあって「こうすればいい」と断言できないことも多いのですが、根本的には実店舗と変わらないということを理解することが大事だと思います。
売上を上げるには、出来る限り業務を効率化をしてリソースを確保し、それを売上を上げるためのアイデア出しなどに費やすことが大事だと思います。
商材とかによってはまだまだチャンスはあると思うので、頑張ってみたら良いと思います。
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